【宅建勉強法】報酬額計算の覚え方!計算が簡単になる方法をわかりやすく解説!
■ 報酬額の計算がわからない…
■ そもそも計算が嫌いで苦手意識がある…
■ 過去問が少ないから答えを覚えてしまった、でもまだ曖昧…
宅建業法の範囲から毎年1問必ず出題される【報酬額に関する問題】複雑な計算問題が出題されることも多く、苦手意識を持ってしまう人も多いです。
私も元々数字が苦手なタイプ…お恥ずかしながら数学どころか算数ができません。
報酬計算は、重要分野なのに捨ててしまおうか何度も悩みました…。
報酬額の計算は、実は一度マスターしてしまうと一気に得意分野にできるラッキー科目です!
私を含め、多くの人が報酬額の計算に苦手意識を感じる理由は2つ。
- 手順を理解できていないこと
- 大きな数字の計算に慣れていない
この記事では、私が受験生時代に報酬額の計算で困ったことを中心に知識を整理し、報酬額の計算についてわかりやすくお伝えしています。
この記事を読むと、苦手だった報酬額の計算が得意分野になりますよ!
直前期からの詰め込みでも十分間に合います。ぜひ参考にしてください!
- 報酬額の計算は【税→特例→計算→税】の4ステップ
- 計算問題の周回よりも【理解】が重要
大手不動産会社で社内営業成績1位を3年継続
学力皆無、地元でドベの高校卒
宅建試験4度の不合格を経て5度目の受験で合格
宅建試験1ヶ月前に第一子を出産
資格
宅地建物取引士|賃貸不動産経営管理士|2級ファイナンシャル・プランニング技能士
親が地主、オーナー会社共同経営
目次から読みたいところに飛べます
記事の途中でも画面右下
報酬額の計算に必須!
速算式の覚え方
報酬額の計算は、売買・交換の場合と賃貸の場合で計算方法がことなります。
まずは売買・交換の場合に使用する公式(速算式)の覚え方を解説していきます。
価格 | 速算式 |
---|---|
200万円以下 | 価格×5% |
200万円超〜400万円以下 | 価格×4%+2万円 |
400万円超〜 | 価格×3%+6万円 |
交換の場合は交換する土地・建物の価格のどちらか高い方を計算に使用できます。
この式は報酬額を計算するための速算式です。本来の報酬額の計算はもう少しややこしいのですが、この式を使うと簡単に計算できます。
▼をタップで確認できます
本来の計算方式
※試験には関係ない豆知識です、覚える必要ありません。気になる人だけどうぞ!
本来は、1,000万円の土地だとしたら1,000万円で計算せずに、それぞれ該当する料率にしたがって計算します。
- 200万円以下の部分=価格×5%
- 200万円超〜400万円以下の部分=価格×4%
- 400万円超〜の部分=価格×3%
1,000万円を料率に従って計算するとこうなります。
- 200万円以下の部分
→200万円×5%=10万円 - 200万円超〜400万円以下の部分
→200万円×4%=8万円 - 400万円超〜の部分
→600万円×3%=18万円
この3つに分けて3回計算し、3つの答えを合計します。
10万円+8万円+18万円=36万円
報酬額は36万円です。
でも、いちいち分解して計算してまた足し戻すなんて面倒くさい…。
ということで速算式があります。
速算式だと、1,000万円は400万円超〜なので「価格×3%+6万円」ですよね。
1,000万円×3%=30万円
これだと上記の計算式に比べて6万円足りません。
この差額を調整するために6万円を足します。
1,000万円×3%=30万円+6万円=36万円
同じ数字になりました〜!あとから足す2万円、6万円は、計算を簡単にするために生じた差額を調整するためのものでした!
あとからちょっと足すの忘れそうだしメンドクセーと思ってましたが、本当はもっと面倒なんだと知ったら許せるようになりました。笑
以上、豆知識でした。試験では速算式しか使わないので、覚えなくて大丈夫です。
この速算式自体は単純に暗記するしかありません。表を視覚的に捉えると、項目ごとに暗記するより覚えやすくなります!
小学生のときに習った九九の要領の覚え方で「2×2=4」なぜか内緒にする。「しぃ〜」。
猫のイラストから「にゃんにゃんしぃ〜しぃ〜」でもいいと思います。
カウントダウンする感じで「5、4、3、2…6(!?)」なんで最後6…?男の子のイラストで仲間外れです。
コツは数字を覚えるというよりは、表を画像として捉えること。矢印の向きに語呂合わせを入れ込むと表が完成します。
ちょっと強引ですが、数字を覚えるのが苦手な人は活用してください。
【以上・以下】はピッタリも含みます
例|100円以上、500円以下=100円〜500円
【超え・未満】はピッタリを含みません
例|100円超〜500円未満=101円〜499円
「以」がつくとピッタリも含むので、「以」は「要る」「入れる」と覚えましょう!
宅建試験ではさまざまな場面で「以上・以下」「超え・未満」が登場します。
「以」は「要る」「入れる」ピッタリを含むんだ!ということだけ覚えておけば、それぞれの法令に対応できます。
報酬額の計算
パターンを理解する
報酬額の計算にはいくつかのパターンがありますよね。出題された問題が、どのシチュエーションのものなのかを正確に読み取ることが大切です。
パターンはもう大丈夫!計算について早く知りたい!って人はこちらから計算の章に飛べます。
代理・媒介の場合
媒介 | 一方からの限度額は算定額以内 売主・買主のどちらにも請求する場合はそれぞれ算定額以内 ※図① |
代理 | 原則|依頼人から算定額の2倍以内 例外|相手方からも受け取る場合、合計で2倍以内 ※図② |
複数の業者が関わる場合 | 各業者が受領できる限度額内 かつ 総額は全業者を1人とみなして受領できる限度額内 ※図③ 図④ |
全部覚えるの大変…と思う場合は、まずは下記の2つだけ頭に入れて実例の確認や問題演習をしましょう!
- 一つの取引の限度額は2倍まで
(複数業者が居ても2倍まで) - 代理か媒介かで請求できる相手方の限度額が変わる
(代理は2倍、媒介は1倍)
具体例を図解で確認していきます。1,000万円の取引をした場合の金額は下記のようになります。
【速算式】
1,000円×3%+6万円=36万円
算定額は36万円
2倍の場合は36万円×2=72万円
細かくパターン化していくとキリがないので、よく問われるパターン4つをご紹介します。
\タップで拡大/
- 取引全体での限度額は2倍(72万円)
- 媒介なので売主・買主それぞれ限度額36万円
※注意|仮に売主側に値引きをして10万円しか貰わなくても、買主に請求できる上限は36万まで。合計72万円ではなく【それぞれに36万円】が基準です。
\タップで拡大/
- 取引全体での限度額は2倍(72万円)
- 売主は代理(72万円)買主は媒介(36万円)
代理の場合は依頼主に算定式の2倍(72万円)請求できます。ただし、買主にも請求する場合は合計72万円までが上限です。【①取引全体での限度額2倍】は超えられません。
\タップで拡大/
- 取引全体での限度額は2倍(72万円)
- 媒介なので売主・買主それぞれ限度額36万円
図①のパターンで業者が2社になりました。業者が増えても【①取引全体での限度額2倍】は変わりません。72万円を分け合う(それぞれのお客様から受領する)ことになります。
※注意|1社の場合と同じく一方が値引きしても、もう一方の上限は36万円を超えません。
\タップで拡大/
- 取引全体での限度額は2倍(72万円)
- 売主は代理(72万円)買主は媒介(36万円)
代理と媒介が混同する場合も、【①取引全体での限度額2倍】は変わりません。
代理の依頼人に72万円請求するなら買主側は0円。買主に36万円請求するなら代理の依頼人は36万円が上限になります。
賃貸の場合
媒介 | ①居住用建物(マンション・アパート) 原則|双方から賃料の0.5ヶ月分ずつ受領可能 例外|あらかじめ依頼人の承諾がある場合0.5ヶ月分を超えることも可 ※どちらの場合も上限は合計で1ヶ月以内まで ②居住用建物以外(店舗・宅地) 原則|双方を合計して1ヶ月以内 例外|権利金がある場合は権利金を取引価格とみなして速算式で計算 (賃料1ヶ月分と算定額のどちらか高いほうが上限となる) |
代理 | 原則|依頼者から賃料1ヶ月分 例外|相手方からも受け取る場合、合計で賃料1ヶ月分以内 |
複数の業者が関わる場合 | 各業者が受領できる限度額内 かつ 総額は全業者を1人とみなして受領できる限度額内 |
具体例を図解で確認していきます。家賃10万円の居住用建物の場合の金額は下記のようになります。
- 一つの取引の限度額は賃料1ヶ月分まで
(複数業者が居ても賃料1ヶ月分まで) - 居住用建物の場合、事前に承諾なければ0.5ヶ月を超えられない
(事前=媒介の依頼を受けるにあたって。請求時などは✕) - 権利金がある場合は権利金を取引価格とみなし、速算式で計算可能
(賃料1ヶ月分と算定額のどちらか高いほうが上限となる)
\タップで拡大/
- 取引全体での限度額は賃料1ヶ月分(10万円)
- 貸主、借主それぞれの上限は0.5ヶ月
(事前の承諾あれば超えてもOK)
事前に承諾あれば一方から0.5ヶ月以上受け取れますが、その場合もう一方から受け取れる金額は減ります。
合わせて1ヶ月分は超えられません。
\タップで拡大/
- 取引全体での限度額は賃料1ヶ月分(10万円)
- 貸主、借主それぞれの上限は0.5ヶ月
(事前の承諾あれば超えてもOK)
媒介業者が増えても同じです。上限の1ヶ月分を分け合うことになります。
報酬額の計算
簡単でわかりやすい覚え方
売買・交換の場合と賃貸の場合に分けて報酬額の計算手順を確認していきます。どちらも、手順を正確に理解するだけでかなりスッキリとするはず。
売買・交換の場合のポイントは【税→特例→計算→税】の手順で解くこと。
賃貸の場合のポイントは【居住用建物とそれ以外の区別をしっかりつける】こと。
どちらの場合も共通するポイントは、図をしつこいくらいにちゃんと書くことです。
STEP1
問題文と選択肢をすべて読む
通常の問題だと、問題文を読んだあとは一肢ごとに◯✕で解答していくのがセオリーですが、報酬額に関する問題は先に一度全体に目を通すのがおすすめです。
なぜなら、計算しなくても答えが変わる肢が紛れ込んでいることもあるから。
選択肢1、選択肢2とそれぞれ計算に時間を費やしたのに、選択肢3や選択肢4で明らかに読めばわかる間違いがあったとしたら計算に費やした時間が無駄になります。
先に全体を読んで間違い探しをしてから、どうしても計算が必要だとわかった段階で計算に入りましょう。
問題を読み返す時間よりも、無駄な計算をする時間と労力の方がもったいない!
STEP2
関係図を書く
問題を解く際は必ず関係図を書きましょう。関係図を書くときは、それぞれの報酬額の上限もしつこいくらいに書き込み、ケアレスミス対策をします。
報酬額の問題は、上限額を超える超えないに引っ掛けてくるパターンが最も多いです。
\タップで拡大/
この図に書いてある計算方法については、次のSTEP3で解説します。ここでは、関係図に倍数と計算の答え、どちらも書き込むということを覚えておいてください。
関係図の書き込みはちょっと面倒ですがケアレスミス防止に一番効果的なので、絶対にサボらないでください。
計算しながら考えるというよりも、まずは計算して数字入りの関係図を完成させることに集中します。
その後、完成した図を見ながら問題文を再度確認すると頭が整理されてミスが減ります。
報酬の問題は計算や見直しに時間がかかるので、なるべく後回しにして時間に余裕を作ってから挑みましょう。
報酬は時間をかけて丁寧に解けば確実に取れる問題ですが、時間をかけすぎて他が総崩れになっては本末転倒です。
計算問題以外の場合
計算しなくても、選択肢の文章中に答えが書いてあるタイプの問題も出題されます。下記のような選択肢があったらラッキーです。
例
A社は代理報酬のほかに、Bからの依頼の有無に関わらず、通常の広告の料金に相当する額についても、Bから受け取ることができる。
答え ✕ Bからの依頼がないなら広告料金相当額を受け取ることはできない。
計算問題と見せかけて、文章中に別のひっかけが隠れているパターンもあるので、問題文は注意して読みましょう。
例
建物が居住用である場合、Aが受け取ることができる報酬の額は、CからBに支払われる権利金の額を売買にかかる代金の額とみなして算出される16万5,000円が上限となる。
答え ✕ 居住用建物の場合、権利金をベースに報酬計算することはできません。
上記のような選択肢の場合、数字があると計算問題だ!と流し読みして計算に入ってしまいそうですが、冒頭の「居住用である場合」の部分をきちんと読み取るだけで計算しなくても答えはでます。
STEP3
報酬額を計算する(売買・交換)
計算問題で間違えてしまったり時間がかかる原因は、手順を正しく覚えていないことが主な原因です。
報酬計算の手順
①税金調整→②特例確認→③計算→④課税
計算自体は難しくないので、この4ステップを覚えるだけでマスターできますよ!
②の特例にあたる場合は③計算式が変わるので、自然と計算する前に特例の確認が必要だと分るはず。なので、最初と最後に税金とだけ覚えると大丈夫です!
- 税金調整
- 土地は非課税なのでそのまま
- 建物は税抜価格にする
例|土地付き建物3,200万円
(うち、土地1,000万円)の場合
総額3,200万円−土地1,000万円=建物2,200万円
建物2,200万円÷消費税1.1=2,000万円
土地1,000万円+建物2,000万円=3,000万円
計算に使う数字は【3,000万円】
- 低廉な空き家等の特例を確認
- 税抜400万円以下の宅地・建物の売買・交換の媒介・代理であること
※賃貸は対象外 - 通常よりも現地調査等の費用を要するものであること
- 依頼者である売主から受領するものに限る
- あらかじめ依頼者に説明し合意すること
上記の条件すべてに当てはまる場合は、現地調査費用を受領できます。受領できる限度額は報酬額と合わせて18万円税別まで。
- 税抜400万円以下の宅地・建物の売買・交換の媒介・代理であること
- 速算式で計算
- 200万以下 価格×5%
(低廉な空家等の特例適用の場合+現調査費用 合計上限18万税別) - 200万超〜400万以下 価格×4%+2万
(低廉な空家等の特例適用の場合+現調査費用 合計上限18万税別) - 400万超〜 価格×3%+6万
- 200万以下 価格×5%
- 課税する
- 課税業者10% 算定額×1.1
- 免税業者4% 算定額×1.04
大きい数字の計算について
何千万×何%の具体的な計算方法がわからなくて困ってる人は居ませんでしょうか?
実は私はちょっと困りました…小中高と義務教育時代さえまともにお勉強しなかったツケがこんなところで回ってきたようです。恥ずかしい…。
【×3%】や【×4%】は【×3/100】であり【×4/100】なので、0を2つ消すと簡単に計算できます。
1,000万円×3%+6万円=36万円
↓
【1,000万円×3%】は0を2つ消して【10×3=30万円】
↓
30万円+6万円=36万円です。
↓
課税する際は、課税業者の10%なら一つ下の位に落とした数字が税額なので、36万円なら税額3万6千円。
↓
36万円+3万6千円=39万6千円です。
※免税業者の場合は4%なので36万円×1.04の式で計算しなければいけません…。
免税業者の問題は滅多に出題されず、過去問でも平成5年と平成2年にあったくらいみたいです。ですが万が一出題されたら対応できるようにしておきましょう。
STEP3
報酬額を計算する(賃貸)
賃貸の計算は売買・交換よりも単純です。居住用建物以外の場合は権利金ベースの計算ができるので、その点に気をつけて問題文や選択肢を読み込みましょう。
- 権利金の確認
- 居住用建物以外(宅地や店舗の場合)は権利金があれば権利金を売買代金とみなして速算式で計算可能。賃料ベースの報酬と比べてどちらか高い方を選択できます。
- 計算をする
- 賃料ベース
例|賃料10万円の場合
賃料10万円×消費税1.1%=11万円 - 権利金ベース
例|権利金500万円の場合
権利金500万円×3%+6万円=21万円
課税業者 21万円×消費税1.1%=23万1千円
免税業者 21万円×消費税1.04%=21万8,400円
- 賃料ベース
報酬額の計算、賃貸の問題は計算が単純な分、他で引っ掛けポイントを作ってくることが多いです。計算問題への対策はもちろんですが、その他の部分をしっかり固めましょう。
【主な引っ掛けポイント】
居住用建物はあらかじめ承諾があれば0.5ヶ月分を超えることも可能
上限は合計1ヶ月以内
居住用建物以外(宅地や店舗等)は事前承諾不要
上限は合計1ヶ月以内
まとめ
報酬額の計算は手順を覚えるだけでマスターできる!
多くの人が苦手とする報酬額の計算ですが、手順を確認してステップ形式で覚えるだけでかなり頭がスッキリします!
宅建業法はなるべく満点を狙いたいので、捨ててもいいところはありません。報酬額の計算に苦手意識を持っている人も、一度頑張って向き合い得意に変えましょう。
直前期にちょっと復習するだけでも十分対応可能です!
注意したほうがいいのは、試験本番で報酬額の計算に時間をかけすぎないこと。絶対に1点取りたい範囲ではありますが、解くのに時間がかかります。
試験時間を圧迫すると他の問題を解く精神的な余裕がなくなるので、最後にゆっくり挑むのがおすすめです。
本試験での時間配分や解く順番についてはこちらで詳しく解説しているので、あわせて確認してください。